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チョコエッグ ~食玩ブームを産み落とした‘タマゴ’~

著: ニコチアーナ・フブキ
編: 桜城蘭

目次

チョコエッグ ~食玩ブームを産み落とした‘タマゴ’~

はじめに

 フルタ製菓株式会社から販売されている玩具付きチョコレート菓子『チョコエッグ』は、1999年(平成11年)の誕生から、累計126種、累計販売数4.5億個を突破し、1フルタ製菓を代表する商品となっています。

 今回は『チョコエッグ』の歴史と、関連する展示品についてご紹介します。

チョコエッグ(出典:photoAC)

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フルタ製菓

 『チョコエッグ』の販売元であるフルタ製菓は、1952年(昭和27年)、古田亀彦(長男)、古田乙彦(次男)、古田鶴彦(三男)の‘古田三兄弟’によって創業されました。(創業時の屋号は、‘古田製菓栄養研究所’)2

 当初は乳ボーロの製造をしていたものの、参入メーカーが相次ぎ儲からなくなったため、お菓子の王様であるチョコレート製造に乗り出しました。チョコレートの製造技術を高めていくと共に、他社が真似できないような独創的なデザインのチョコレートを生み出していきます。傘型チョコの『アイデアルチョコレート』、チョコを八の字型の錠剤シートにパッケージングした『ハイエイトチョコ』がその代表です。3

 このフルタ製菓の既成概念に囚われない風土が、後の『チョコエッグ』に繋がることになります。

フルタ製菓の本社の最寄り駅である東部市場前駅(大阪府生野区)(出典:photoAC)

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キンダーサプライズの誕生

 1997年(平成9年)、イタリアのフェレロ社が製造、販売していた卵型チョコレート『キンダーサプライズ』が日本で大ヒットします。チョコを割ると中にはおまけ入りのカプセルがあるというこの菓子は、1974年(昭和49年)に本国イタリアで評判を呼んだのち、世界各国の小売店の棚に並ぶほどベストセラー商品となりました。
 なぜ日本でヒットするのがここまで遅くなったかというと、実は1970年代(昭和45年代)に一度、日本進出に失敗しているからです。当時はロッテから『チョコたまご』の名称で販売されていましたがあまり売れず、その後日本での販売は中止されます。
 その後、カンロ株式会社が1997年(平成9年)に『キンダーサプライズ』の販売権を取得し、大々的にCMを打ち出したこともあり、一大ムーブメントに繋がりました。(なお『キンダーサプライズ』の日本展開は、2002年(平成14年)に江崎グリコ株式会社が販売代理店として販売していたのを最後に、行われていません。4

 キンダーサプライズ』がもたらした影響は凄まじく、世界中で類似商品が発生しました。5チョコエッグ』は、その内の一つです。

イースターエッグ(『キンダーサプライズ』のモチーフ元でもある)(出典:photoAC)

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チョコエッグの誕生

 『キンダーサプライズ』の衝撃が冷めやらぬ頃、フィギュア、食玩を製作している株式会社海洋堂の名物専務、宮脇修一氏は、中国の工場でとある食玩フィギュアを見かけます。それはオーストラリアのチョコレート・メーカー、Cadbury(キャドバリー)社が販売している卵型チョコレート『ヤウイ6のオマケでした。この商品は主にオーストリア・ニュージーランドの動物たちが食玩としてチョコの中に入っており、7これにヒントを得た宮脇専務は、フルタ製菓と『キンダーサプライズ』をモチーフにした商品を開発する際、日本の動物を食玩フィギュアとしておまけに付けることを提案します。そうして1999年(平成11年)に世に出たのが、記念すべき『チョコエッグ』第一弾‘日本の動物コレクション’8です。

 ちなみに‘日本の動物コレクション’の造形を一手に引き受けたのが、海洋堂所属の造形作家である松村しのぶ氏でした。松村氏は動物や恐竜のフィギュア製作を得意とする方ですが、如何せんお金に繋がりづらく、海洋堂内では肩身の狭い思いをされていたそうです。9チョコエッグ』の成功により、現在では日本を代表する生物造形作家として目されています。10

 『チョコエッグ』は販売開始から3年間で1億3千個も売り上げる大ヒット商品になりましたが、その後フルタ製菓と海洋堂とで方向性の違いが生じ、パートナーシップを解消することになります。11

 現在の『チョコエッグ』のラインナップは、主に版権キャラのフィギュアが中心となっています。12

ティラノサウルス(出典:photoAC)

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展示品紹介

 当館に所蔵されている『チョコエッグ』関連の展示品の一部を紹介します。

ペット動物シリーズ②

 写真下段に並ぶ展示品は、2001年(平成13年)9月に販売された『ペット動物シリーズ②』のフィギュアです。手前中央の‘ペルシャ チンチラゴールデン’は、パッケージにも登場しています。

 ペットを飼いたくても飼えない人たちを癒してくれるシリーズです。13

ペット動物シリーズ②(出典:B宝館)
動物シリーズ⑤(日本の動物)

 写真手前の3匹は、2001年(平成13年)3月に発売された『動物シリーズ⑤(日本の動物)』のフィギュアです。(左から、水クラゲ、イシダイ、バン) バンの脚が水に浸かり、水面に波紋が広がっている表現が素晴らしいですね。14

動物シリーズ⑤(日本の動物)(出典:B宝館)
動物シリーズ③ ジンベエザメ

 2000年(平成12年)に発売された『動物シリーズ3(日本の動物)』のラインナップの一つ、ジンベエザメです。ジンベエザメは、この後海洋堂の手によって何度もフィギュア化されることになります。15

 ※ちなみに写真左に写っているシャチは、海洋堂×タカラ(現在のタカラトミー)による『チョコQ』の第7弾‘アニマテイルズ 日本の動物7’のフィギュアです。16

動物シリーズ③ ジンベエザメ(写真右)(出典:B宝館)

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最後に

 チョコエッグについて取り上げましたが、いかがでしたでしょうか。

 フルタ製菓の柔軟性と海洋堂の高クオリティなフィギュアが融合し、子供のみならず大人もこぞって買い求める程の商品になり、2000年代初頭に一大食玩ブームを巻き起こしました。海洋堂とのパートナーシップを解消したのちは、人気の版権キャラをおまけに配し、私たちを楽しませてくれます。

 当館には先ほど取り上げた展示品の他にも、チョコエッグ関連の展示品があります。是非一度、ご自身の目でご覧になってください。



脚注
  1. ”まち”で生まれた”もの”を知る〜生野区を盛り上げるものづくり企業を紹介〜vol.4 フルタ製菓の乾さん、塩谷さん、南開さん – IKUNO TO GO ↩︎
  2. ”まち”で生まれた”もの”を知る〜生野区を盛り上げるものづくり企業を紹介〜vol.4 フルタ製菓の乾さん、塩谷さん、南開さん – IKUNO TO GO ↩︎
  3. ”まち”で生まれた”もの”を知る〜生野区を盛り上げるものづくり企業を紹介〜vol.4 フルタ製菓の乾さん、塩谷さん、南開さん – IKUNO TO GO ↩︎
  4. 90年代後半流行ったオマケ付きチョコ菓子『キンダーサプライズ↩︎
  5. 90年代後半流行ったオマケ付きチョコ菓子『キンダーサプライズ』 ↩︎
  6. ヤウイはご存じ? TOPページ ↩︎
  7. ヤウイはご存じ? TOPページ ↩︎
  8. フルタ製菓株式会社 チョコエッグ博物館 ↩︎
  9. 海洋堂・宮脇修一センムの履歴書|フィギュアに尽くした50余年。いま「敗北感しかない」と語る理由 – ぼくらの履歴書|トップランナーの履歴書から「仕事人生」を深掘り! ↩︎
  10. ものが生まれる瞬間フェス – ほぼ日刊イトイ新聞 ↩︎
  11. 海洋堂・宮脇修一センムの履歴書|フィギュアに尽くした50余年。いま「敗北感しかない」と語る理由 – ぼくらの履歴書|トップランナーの履歴書から「仕事人生」を深掘り! ↩︎
  12. フルタ製菓株式会社 チョコエッグ博物館 ↩︎
  13. フルタ製菓株式会社 チョコエッグ博物館 ↩︎
  14. フルタ製菓株式会社 チョコエッグ博物館 ↩︎
  15. チョコエッグ日本の動物3 ↩︎
  16. チョコQ第7弾 ↩︎

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