ニコちんの徒然日誌【第八段】~タイヤの色はなぜ黒色か?~
今回は、タイヤの色についてお話します。
当館には数多くのミニカーが展示されております。
様々な時代、メーカー、車種、カラーリングの車がショーケースに所狭しと並んでおりますが、タイヤだけは一様に黒色です。
皆さん、何故タイヤが黒色なのか疑問に思われたことはないでしょうか。
自動車に使用される空気入りタイヤが実用化されたのは、19世紀末のことです。
それまでのタイヤというのは金属や木で作られた車輪の外周にゴムを覆っただけの代物で、当然ゴムが覆われていない車輪と比べれば低反発で乗り心地を向上させはしましたが、運転性能を大幅に上げるものではありませんでした。
空気入りタイヤはパンクなど耐久性に問題があったとはいえ、クッション性の向上と自動車の重量化に耐えうる発明として評価され、急速に普及していくことになります。
初期の空気入れタイヤはゴムの補強材として使用されていた炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムから白色、飴色のものが多数を占めておりました。
その後、カーボンブラック(乱暴に言えば、工業的に製造された’煤’)をゴムに混ぜ込むことでタイヤとしての強度を飛躍的に高める手法が確立され、現在に至るまでカーボンブラックはタイヤ製造に広く使われるようになりました。
タイヤの黒は、カーボンブラック由来の色だったんですね。
ちなみに小ネタですが、手塚治虫の漫画「ブラックジャック」で主人公のブラックジャックが乗っている車は、何故かタイヤの色が常に白色で書かれています。
詳しい理由は不明ですが、ブラックジャックの愛車は黒色であり、また本人も黒ずくめの格好なので、絵面のバランスからベタ(黒塗り)で描くことを避けたのではないか……とされております。
漫画を写実的な絵ではなく記号の集合体と捉えていた手塚治虫らしい、大胆な表現方法ですね。
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