ニコちんの徒然日誌【第七段】~禁酒法~
今日は、悪法として有名なアメリカの禁酒法についてお話したいと思います。
私は元々ギャングやマフィアに関する作品が好きなので、それらに出てくる禁酒法を調べてみようと思い立った次第です。
国家権力が人々の嗜好品を制限しようとすると大概ろくな結果にならないのですが、その最たる例である禁酒法の魅力?を紹介していきます。
アメリカでは、建国当初より敬虔なプロテスタントの一派であるピューリタンが強い影響を持っていました。
極めて厳格なキリスト教的禁欲主義を是とするピューリタンはかねてよりアルコールに批判的で、19世紀から20世紀初頭にかけて18の州で禁酒法が制定されていました。(アメリカ合衆国は連邦国家であり、州政府の権限が大変強い国です)
時は第一次世界大戦。
有史以来初めての国家総力戦(国家が経済も政治も何もかも総動員して戦う戦争の形態)の中で、貴重な穀物を大量に浪費する酒類を規制すべしとの声が高まり、紆余曲折あって禁酒法が連邦議会を通過することとなります。
なお禁酒法が制定された1919年には、既に第一次世界大戦は終結していました。
ご存じの通り、この禁酒法は所謂’ザル法’であり、人々はあの手この手で法の網をかいくぐりました。
隣国カナダからの酒の輸送は取り締まられなかったり、また至る所で密造酒が作られてしまうなど、非合法な酒類の流通が止まりませんでした。
マフィアの象徴的な人物であるアル・カポネは、このような酒の密売ビジネスで勢力を伸ばします。映画「アンタッチャブル」が有名ですね。
結局、禁酒法は施行から13年後の1933年に廃止されました。
今でこそ悪法の代名詞として記憶されておりますが、現在のアメリカでも、州によっては酒類の販売について禁止に近い措置を取っているところもあり、禁酒法は決して昔話ではありません。
特にキリスト教勢力が強い南部ではその傾向が顕著とされています。
あちらが立てば、こちらが立たず……
七千年前から人類の愛すべき友であり、最悪の敵でもあったアルコールに関して、古今東西の権力者たちはそのコントロールに苦慮してきました。
とはいえ人間は、禁じられると余計にその行動を引き起こしてしまいたくなる厄介な生き物。そんなことを再認識せてくれる出来事であったと言えるでしょう。
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