ニコちんの徒然日誌【第九段】~都バス~
今年は都バスの運行開始からちょうど100周年であり、様々なイベントが催されています。
今回は、そんな都バスの歴史について話そうと思います。
1924年(大正13年)1月18日、東京市電気局が乗合バス事業を開始しました。後の都営バス(都バス)です。
これを記念して、1月18日は都バスの日とされています。
乗合バス事業は元々、1923年(大正12年)に発生した関東大震災によって東京市電(都電)が大打撃を受けたことを受け、代替手段的な事業として始まりました。
このように事前に計画された事業ではなかったため、まずは急ぎバスを確保する必要がありました。
東京市電気局は、当時ベルトコンベアによる流れ作業方式によって大量生産されていたフォード社のT型車に着目し、最終的にはT型車のトラックバージョンであるモデルTTを800台発注します。
シャーシに最低限度の架装を施したモデルTTのバスは正にトラックそのものであり、トラックシャーシが流用され腰高になったことで、明治時代の乗合馬車にも外観が似ていました。
何分急ごしらえで作られたので当時の日本人の体格でも乗車するのに困るような車体になってしまい、乗り心地も馬車さながらでかなり悪かったようです。
その見た目から、馬車の通称を取って「円太郎バス」と呼ばれました。(’円太郎’とは、落語家橘家圓太郎が由来です。出囃子の代わりに乗合馬車の御者用のラッパを吹いていたことで人気になり、転じて馬車のことを円太郎と呼ぶようになりました)
そんな円太郎バスでしたが、小さい車体が功を奏して震災後の市中を走行するには適していたこともあり、市民たちに愛用されるようになりました。
市電が復旧された後も乗合バスの利用は定着するようになり、現代に至ります。
様々なものが過度に密集した都市部では、電車よりもバスの方が便利である場面も多いです。
老若男女問わず運んでくれる都営バスに揺られながら、その歴史に思いを馳せます。
(イラストは都バスのマスコットキャラクターである「みんくる」です)
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